イッテルビウム光格子時計

発行者: 27.10.2020

図 カドミウム光格子時計の魔法波長を 図1 イッテルビウム/ストロンチウム周波数比測定の概要 イッテルビウムとストロンチウム光格子時計の励起レーザー周波数は、光周波数コムによって安定化します。さらに、励起レーザー周波数は、コンピューターシステムによって各原子の共鳴周波数に合うように制御します。熱輻射による周波数シフトを抑制するため、原子は-175度まで冷却された恒温槽中に輸送され、励起レーザーで時計遷移が観測されます。.

光時計は、セシウム原子時計の性能を100倍以上も凌駕する10 -18 の不確かさに近づきつつあります。この結果、「秒」の再定義に向けた議論が始まっています。しかし、1秒を光時計で再定義する前に、まずは光時計の「再現性」が担保される必要があります。.

本研究は、日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金特別推進研究「超高精度光格子時計による新たな工学・基礎物理学的応用の開拓(研究代表者:香取秀俊)」、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業ERATO「香取創造時空間(研究総括:香取秀俊)」、科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業 大規模プロジェクト型「クラウド光格子時計による時空間情報基盤の構築(プログラムマネージャー:香取秀俊)」による支援を受けて行われました。. セシウム原子時計に比べて、振り子の振動数が約10万倍大きな光の振動を使うと、その振動数の分、高精度な原子時計を作ることができます。光の振動を使う原子時計のことを、特に「光時計」と呼びます。光時計は、 光周波数コム 注5) と呼ばれる光周波数のカウンターが発明された(2005年ノーベル物理学賞)ことで、実現可能な時計となり、この15年間で著しい進歩を遂げました。.

図 カドミウム光格子時計の魔法波長を JST 戦略的創造研究推進事業において、東京大学 大学院工学系研究科の香取 秀俊 教授(理化学研究所 主任研究員)、理化学研究所のNils Nemitz(ニルス・ネミッツ)国際特別研究員らの研究グループは、異なる原子を用いた 光格子時計 注1) を世界最高 精度 注2) かつ短い計測時間で比較することに成功しました。. 前に戻る This page updated on Mar. 本研究成果は、室温で18桁の 精度 [3] を持つ小型・可搬型光格子時計の実現につながる重要な成果です。.

All rights reserved? JSPS C15KB17KA17H. 13601.

図1 カドミウム原子の魔法波長を決定するために開発した装置の概念図 ディスペンサーから蒸気として放出されたカドミウム原子は、レーザー冷却光により真空チャンバーの中心に捕獲・冷却され、光格子レーザーでトラップされる。光格子レーザーの波長と強度を変えながら、原子が吸収する時計レーザーの周波数シフト(光シフト)を測定する。この際、時計レーザー光に共鳴してカドミウム原子の状態が変化したかどうかを、カメラで観測する。. 図2 イッテルビウム光格子時計の誤差評価の例 a 光格子レーザー周波数と、 b 外部磁場に依存したイッテルビウム原子の 共鳴周波数のずれの測定結果。赤点は測定値、青線は理論予測に基づき、 a では1次関数、 b では2次関数によるフィッティングを行った。. 今回、国際共同研究グループは、カドミウム原子を光格子に捕獲し、光格子レーザーによる 光シフト [4] を精密に測定しました。その結果、光シフトがゼロになる光格子レーザーの波長(魔法波長)を、
  • 本研究では、異なる原子を用いた時計の周波数比を測定しました。測定のために新たなレーザーシステムを構築し、光格子時計でイッテルビウム原子を捕捉し、原子の振り子の振動数を測れるようにしました。なお、イッテルビウム光格子時計で周波数シフトを精密に評価することで、2009年に米国の標準研究所で実現されていたイッテルビウム光格子時計よりもさらに10倍の高精度化に成功しました( 図1 )。. 図2 測定時間に対する統計不確かさの改善 150秒の平均化時間でイッテルビウム時計の不確かさで決まる限界まで到達します。さらに長時間平均化させることにより安定度は改善し、5,000秒の平均化により不確かさは5x10 -18 まで減少します。2台の独立した時計を独立した励起レーザーで励起した場合に推定される安定度が黒い線で示されています。同期比較によって、不確かさが半分になり、4倍の高速測定が可能であることが分かります。下の赤色の線は、理論上の安定度限界を示しています。.
  • 本研究では、異なる原子を用いた時計の周波数比を測定しました。測定のために新たなレーザーシステムを構築し、光格子時計でイッテルビウム原子を捕捉し、原子の振り子の振動数を測れるようにしました。なお、イッテルビウム光格子時計で周波数シフトを精密に評価することで、2009年に米国の標準研究所で実現されていたイッテルビウム光格子時計よりもさらに10倍の高精度化に成功しました( 図1 )。.

~周波数比の高速かつ超精密な測定は新しい物理への窓を開く~

山口 敦史. 産総研 計量標準総合センターは、社会活動に必要とされるさまざまな「ものを測る基準」(計量標準)を開発し、その標準を社会に供給する役割を担っている。国が定めた最上位の計量標準は「国家計量標準」と呼ばれ、国際単位系の定義に基づき、極力高い精度をもって実現し、安定した標準供給の源として運用されなくてはならない。産総研は各国の標準研究所と共に、不変・普遍なものさしの開発を通して科学・技術の発展に貢献してきた。時間標準に関しては、時計を長時間動作させて安定な時間標準を国内に供給するとともに、再定義後の国家標準の構築と安定した標準供給に向けて研究開発を進めてきた。この取り組みの一環で、年に世界に先駆けてイッテルビウム光格子時計を開発し、年にはストロンチウム光格子時計も開発した。また、光周波数コムは長期間安定に動作し、高い精度でレーザー周波数の制御が可能な装置であるが、産総研では、安定に動作し、周波数雑音の極めて小さい世界最高水準の光周波数コムを開発してきた。 今回、長期運転が可能なイッテルビウム光格子時計の開発に取り組むにあたり、これまで問題であったレーザー周波数の不安定性を解決するために、光周波数コムの技術を用いることにした。 なお、今回の開発は、独立行政法人 日本学術振興会(JSPS)の科学研究費助成事業 基盤研究C(15K)、若手研究B(17K)、基盤研究A(17H)による支援を受けて行った。.

イッテルビウム光格子時計は、時計の高精度化を実現する上で、 黒体輻射 の影響が小さいことや、 核スピン が小さいためにエネルギー準位が単純で制御しやすいといった利点があり、産総研をはじめ世界中で盛んに開発が進められてきた。. 本成果は、以下の事業・研究プロジェクトによって得られました。 戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO) 研究プロジェクト 「香取創造時空間プロジェクト」 研究総括 香取 秀俊(東京大学 大学院工学系研究科 教授、理化学研究所 香取量子計測研究室 主任研究員) 研究期間 平成22年10月~平成28年3月 極低温原子操作、量子制御技術、最先端のレーザー制御技術の高度化により、セシウム原子時計の精度を陵駕する、新しい原理の原子時計「光格子時計」の実現を目的としています。. 理化学研究所 開拓研究本部 香取量子計測研究室 主任研究員 香取 秀俊(かとりひ でとし) (光量子工学研究センター 時空間エンジニアリング研究チーム チームリーダー、東京大学大学院 工学系研究科 物理工学専攻 教授) 研究員 山口 敦史(やまぐち あつし) (光量子工学研究センター 時空間エンジニアリング研究チーム 研究員).

  • 図1 カドミウム原子の魔法波長を決定するために開発した装置の概念図 ディスペンサーから蒸気として放出されたカドミウム原子は、レーザー冷却光により真空チャンバーの中心に捕獲・冷却され、光格子レーザーでトラップされる。光格子レーザーの波長と強度を変えながら、原子が吸収する時計レーザーの周波数シフト(光シフト)を測定する。この際、時計レーザー光に共鳴してカドミウム原子の状態が変化したかどうかを、カメラで観測する。. セシウム原子時計に比べて、振り子の振動数が約10万倍大きな光の振動を使うと、その振動数の分、高精度な原子時計を作ることができます。光の振動を使う原子時計のことを、特に「光時計」と呼びます。光時計は、 光周波数コム 注5) と呼ばれる光周波数のカウンターが発明された(2005年ノーベル物理学賞)ことで、実現可能な時計となり、この15年間で著しい進歩を遂げました。.
  • 今回、国際共同研究グループは、カドミウム原子を光格子に捕獲し、光格子レーザーによる 光シフト [4] を精密に測定しました。その結果、光シフトがゼロになる光格子レーザーの波長(魔法波長)を、 本文へ Home 研究成果(プレスリリース) 研究成果(プレスリリース) 当サイトは、Javascriptを使用しています。Javascriptを無効にして閲覧した場合、コンテンツが正常に動作しないおそれやページが表示されない場合があります。当サイトをご利用の際には、Javascriptを有効にして閲覧下さい。.

451 8.

長期間運転可能なイッテルビウム光格子時計を開発――国際的な標準時の精度向上に貢献 産総研と横浜国大

産総研について 研究成果 連携と技術相談 コミュニケーション 採用情報 アクセス お問い合わせ. 今回、国際共同研究グループは、カドミウム原子を光格子に捕獲し、光格子レーザーによる 光シフト [4] を精密に測定しました。その結果、光シフトがゼロになる光格子レーザーの波長(魔法波長)を、 レーザーは周波数安定度に優れ、理想的な振動子 振り子 に近いと考えることができるが、長期的には周波数が徐々にずれていく。この周波数のずれを原子のある準位間の遷移の共鳴周波数を基準に補正することでより理想的な振動子が実現でき、時計の精度が向上する。光格子時計では、レーザー光を重ね合わせて作る光格子という容器に、約千個の原子を捕獲する。これにより信号が大幅に増加し、精度の向上に寄与する。.

Physical Review Letters 913914. 2 イッテルビウム光格子時計 b a. 2 a b a 1 b 2.

本研究グループは、イッテルビウム原子とストロンチウム原子を「 魔法波長 注3) 」で作られた光格子の中に捕獲・計測する光格子時計の手法を使って、計測時間を大幅に短縮して周波数を比較することに成功しました。この結果、国際単位系の1秒の実現精度をはるかに上回る5x10 -17 の不確かさで周波数比を決定し、これまでの異なる原子時計比較の精度の最高記録を更新しました。加えて、光格子時計の安定性をさらに向上させたことにより、これまでの最速計測時間より90倍も速い150秒で2台の時計の比較を実現しました。. 光時計は、セシウム原子時計の性能を100倍以上も凌駕する10 -18 の不確かさに近づきつつあります。この結果、「秒」の再定義に向けた議論が始まっています。しかし、1秒を光時計で再定義する前に、まずは光時計の「再現性」が担保される必要があります。. 産総研 計量標準総合センターは、社会活動に必要とされるさまざまな「ものを測る基準」(計量標準)を開発し、その標準を社会に供給する役割を担っている。国が定めた最上位の計量標準は「国家計量標準」と呼ばれ、国際単位系の定義に基づき、極力高い精度をもって実現し、安定した標準供給の源として運用されなくてはならない。産総研は各国の標準研究所と共に、不変・普遍なものさしの開発を通して科学・技術の発展に貢献してきた。時間標準に関しては、時計を長時間動作させて安定な時間標準を国内に供給するとともに、再定義後の国家標準の構築と安定した標準供給に向けて研究開発を進めてきた。この取り組みの一環で、年に世界に先駆けてイッテルビウム光格子時計を開発し、年にはストロンチウム光格子時計も開発した。また、光周波数コムは長期間安定に動作し、高い精度でレーザー周波数の制御が可能な装置であるが、産総研では、安定に動作し、周波数雑音の極めて小さい世界最高水準の光周波数コムを開発してきた。.

  • 本研究では、異なる原子を用いた時計の周波数比を測定しました。測定のために新たなレーザーシステムを構築し、光格子時計でイッテルビウム原子を捕捉し、原子の振り子の振動数を測れるようにしました。なお、イッテルビウム光格子時計で周波数シフトを精密に評価することで、2009年に米国の標準研究所で実現されていたイッテルビウム光格子時計よりもさらに10倍の高精度化に成功しました( 図1 )。.
  • 山口 敦史.
  • 原子の遷移周波数を基準とする原子時計は、衛星測位技術、高速通信ネットワークのようなさまざまな現代技術をもたらしています。また、国際的な時間スケールである国際原子時(TAI)や協定世界時(UTC)は、3000万年に1秒以下(10 -15 )の誤差で使われています。.
  • 本研究では、異なる原子を用いた時計の周波数比を測定しました。測定のために新たなレーザーシステムを構築し、光格子時計でイッテルビウム原子を捕捉し、原子の振り子の振動数を測れるようにしました。なお、イッテルビウム光格子時計で周波数シフトを精密に評価することで、2009年に米国の標準研究所で実現されていたイッテルビウム光格子時計よりもさらに10倍の高精度化に成功しました( 図1 )。.

[4] 2 a b イッテルビウム光格子時計  . JSPS C15KB17KA17H. Tel Fax E-mail.

図1 カドミウム原子の魔法波長を決定するために開発した装置の概念図 ディスペンサーから蒸気として放出されたカドミウム原子は、レーザー冷却光により真空チャンバーの中心に捕獲・冷却され、光格子レーザーでトラップされる。光格子レーザーの波長と強度を変えながら、原子が吸収する時計レーザーの周波数シフト(光シフト)を測定する。この際、時計レーザー光に共鳴してカドミウム原子の状態が変化したかどうかを、カメラで観測する。. JSTトップ > プレス一覧 > 共同発表. 今回、時計の動作に必要な全てのレーザー光源を 光周波数コム で制御する、新しい制御システムを構築することで、イッテルビウム光格子時計の安定した動作を実現した。数カ月の実験期間内において1回3時間以上の運転を定期的に行い、積算運転時間は60時間以上となった。これまで他機関のストロンチウム光格子時計で長期運転が実現されていたが、イッテルビウムにおいても実現可能であることを示した。この光格子時計とマイクロ波を用いた従来の原子時計を定期的に比較することで、国際原子時の精度向上への貢献が現実的になった。さらに、この安定動作可能な光格子時計を用いることで、時計としての誤差要因を詳細に評価することが可能になり、時計の精度が万年に対して1秒程度の誤差に相当することを確認した。開発したイッテルビウム光格子時計により、将来の国際原子時の精度向上への貢献が期待される。.

Tel Fax E-mail.

有用? リポストしてください!

評価:5

最新ニュース